テイルズオブアライズ クリア後感想

PS5版テイルズオブアライズクリアしました。
当然のようにネタバレあり。
プレイした日付ごとのnoteはこちらから。

戦闘

シンプルになりすぎてあまり面白くは無かった。
敵の特性に対応する要素が全てブーストアタックの方に行ったので、敵の弱点は6属性のみ。
しかも近接技は少ししか属性付きが無いので、敵に合わせてコンボを考えるという要素がほぼ無く、どの敵と戦ってもあまり代わり映えしないので単調になりがち。
(そもそも術技セット数が減ったので、色々な術技を状況に応じて使い分けるという要素が減ったのも意図通りか。)

ということで早々に前衛キャラに見切りをつけ、ひたすらリンウェルを操作していた。
連携時詠唱短縮マジックチャージ中詠唱短縮のスキルがかなり強く、後半になるとシューティングスターのような上級術でも素の下級術と同じぐらいの速度で連打できるほど。
結局最後まで敵の弱点に合わせて術を連打するだけでなんとかなってしまった。というか終盤の敵が(設定上仕方ないとはいえ)ほとんど闇属性なので、光属性攻撃特化のリンウェルが有効すぎた。
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ブーストアタック

ブーストアタックは「空を飛ぶ敵にはシオンの狙撃」「詠唱を使う敵にはリンウェルの術妨害」など敵の特性に合わせてキャラ毎のアクションで対応するシステムだが、これがゲージ制でたまにしか使えないというのがかなりストレスだった。
リンウェル加入直後の地下通路で詠唱するウーズ5体に囲まれ、術の第一波は防げても次はゲージが溜まっていないので止められず壊滅する辺りから怪しかったが、後半3人の「敵のガードを崩す」「敵の突進を止める」「敵の回避を封じる」が特に顕著。
例えばロウの場合、上手く巻き込めないと基本単体にしか効果が無いのに、ガードする敵がそこら中に3体ぐらいのパーティでうろついているため、ブーストアタックを効果的に駆使してリターンを得られる状況よりガード中の敵を仕方なく殴っている時間の方がずっと多い
ボスももちろん強行動として詠唱技や突進技を使ってくるが、死ぬとブーストゲージが半分になるため、本当に必要なブーストアタック要員は戦闘メンバーから外しておいた方が安定するという謎の戦術も生まれていた。
ブーストアタックには発動時点でアーツゲージが回復するというおまけがあるので、連携に組み込むとさらに連携を伸ばすことができ、こちらは爽快感があって良いのだが、いかんせん敵の対応用のブーストアタックと連携用に使うブーストアタックが食い合っているので貯まったら即発動という訳にもいかないのが煩しかった。

CP制

作品によってコロコロ変わるTP制だが、今作は攻撃系の術技は連携管理用のアーツゲージを消費して自由に出せる代わりに、回復系の術技はCP(キュアポイント)という専用のリソースを消費する形式に。
戦闘中に気兼ねなく大技を出せるCC制と探索でのリソース管理としてのTP制をいいとこ取りしたシステム…のように思えたが、最近の作品のTPのように温存して戦闘していれば回復するという事が無いので、回復リソースの管理はかなりシビアになっていた。

一応ボス戦前にHPとCPを全回復するポイントは置かれているが、ダンジョンの途中でCPが無くなった時に一々戻らないといけないのはかなり不便。
これは被弾(=CP消費)の多くが自分の操作と関係無い味方の被害で、CPの維持にあまりプレイヤーが介入できないというのもあるかもしれない。

ストーリー

最初は怪しかったが、メナンシア編で領将を倒すだけの話でなくなった辺りからどんどん面白くなった。

前半は世界設定の根底にある奴隷と支配の描写。メナンシアでダナ人とレナ人の融和の可能性を描き、次のミハグサールではレナの支配を解放してなお(厳密には解放できていなかったが)ダナ人がダナ人を支配するという可能性を示し、最後のガナスハロスではヴォルラーンという1人の絶対的な支配者によってレナ人もが支配されているという変化球は飽きなくて面白かった。
前半通して、奴隷支配とは単純なダナ人とレナ人という括りで起こっている表面的なことではなく、とにかく"自由ではない状態"が奴隷であり、これを解放していくんだという方向に進んでいくのが後半への伏線としてよく出来ていた。

当初の目的であった主霊石5つを集め終わったところで第一部が終わり、そこから存在しないはずの6つめの主霊石を持って現れる謎の赤い女に始まり世界設定がほぼ全てひっくり返っていくが、テュオハリムが情報の整理と疑問の列挙、考察まで全部やってくれるのでサクサク話が進んでわかりやすい。

後半、いよいよレネギスに向かうというところで、シオンの目的であった「主霊石を集めて作れるレナス=アルマで自身の<荊>を取り除く」ことが自身の死を伴うものであり、最初から死ぬために旅をしていたということが明かされる。ダナ人奴隷のアルフェンに対になるように現れたレナ人であるシオンが、実は<荊>に命を握られていて自由のない奴隷だった、という繋げ方は上手いと思った。
また、この手の話のお約束として<荊>をなんとかしないと世界は滅びるとされていて、世界を救うためにシオンを犠牲にするか?という話になる。この"誰かのために誰かが犠牲になる"という構造に対して自然にアルフェンの"奴隷"を解放して自由を取り戻すという目的が自然に繋がるのが良い。

そして最後に"赤い女"改めヘルガイムキルの1人がいる拠点「ダエク=ファルゾル」で全ての世界構造が明かされる。
レナ人はヘルガイムキルによって改造されたダナ人であり、そのヘルガイムキルもレナの意思に縛られていたという、今作的にはどこまで行っても奴隷の支配構造は存在するという衝撃の事実。そしてそもそものレナの意思は生きるためにダナの星霊力が必要だったので、生きるためには支配構造が必要というテーマになる。
これに対しアルフェンは赦し合うこと、誰かが誰かを支配するのではなく仲間になれば、誰かのために誰かが犠牲になることもなくなるという信念で対抗。
(実際、ダナの星霊力を"奪う"のではなく"助けてもらう"ことでシオンを救い、最終的にダナとレナを一つにした新しい世界を作ることでレナも救った。)
この辺りは結論としては陳腐かもしれないが、序盤から奴隷というものをいくつもの形で描いてきたことで説得力があり、いつものテイルズらしい青臭い感じもあってかなり良かった。

その他

テイルズの時短DLCは今まで薬草セットやガルド、経験値など「1回使ったら終わり」系のものだと思っていたが、今作では「武器作成時の消費数が1になるアーティファクト」とかまで売っているらしい。
個人的にはこういうシステムに介入する系のDLCはナシでお願いしたかった…

衣装DLCで術技の追加も思う所が無い訳ではないが、まあ戦闘が面白ければお布施をしても構わないし、戦闘が面白くなければ関係無いので問題無いかもしれない。ただ、炎上回避のためなのか衣装DLCの公式情報に「付属の称号で術技が追加される」と一言も書いておらず、実質的に術技を別売りしているという事を隠そうとしている感があるのがかなりマイナスイメージだった。

配信規約に関しても具体的すぎて良いという見方がある一方で、配信禁止区間に入る選択肢が終盤の大部分であるということは事前に知りようもないし、いざ配信を進めたらこれからだという所でいきなり打ち切らざるを得なくなるという事実を隠し、都合のいい部分だけを配信させてPRの一貫として利用する気しか無いのが透けて見えてしまうのはどうかと思った。
(もちろんゲームの権利者は公式側であり、好意で配信が許可されているだけというのはあるが、それにしてもやり方が悪印象すぎる。)

個人的には今作からのシリーズ新体制は今の所あまり好きではないなという印象。