逆転検事 クリア後感想

DS版「逆転検事」をクリアしたのでその感想を書きます。シリーズは逆転裁判1(蘇る含む)~3、4途中まで、大逆転1~2、レイトン逆裁をクリア済み。


逆転裁判」の主人公の弁護士である成歩堂龍一のライバル検事、御剣怜侍が主人公の本作。といっても正式な法廷で検事側として立つ訳ではなく(やる前はそうだと思ってた)、推理物のように捜査と追究で真犯人を追い詰め自白させるのが主な流れになっている。時系列的には「逆転裁判3」の後の話で、1のDS版以降追加の『蘇る逆転』のキャラも少し出てくるので、前提知識としてはDS版以降の1~3をやっておけば問題無い。

逆転裁判」の『探偵パート』に相当する『捜査パート』は、「逆転裁判」のように色々な場所を回って情報を集めるのではなく、特定のエリア内を動き回って捜査するという形式になっており、個人的にはこちらの方がサクサク進めてストレス無く楽しめた。

また、『ロジック』という本作独自の要素があり、これは御剣が事件に対して抱いた疑問点や、閃いた可能性のピースの中から2つを繋げて推理を進めるというシステム。一部ロジックの組み立てには無理やり感のある箇所もあったが、第2話『逆転エアライン』終盤で関係者の一人であるジンクが警備員と揉めて転落した時など、突拍子もない瞬間に多くのピースを閃き、一気に推理を進めるという演出として使われているのは中々良かった。

このゲームのストーリーの肝は、御剣が検事という存在の在り方についてどう向き合うかという部分であり、「逆転裁判」における検事側の物語としてかなりよく出来ている。
第5話『燃え上がる逆転』において、黒幕を追い詰める際、違法な証拠品(自分の検事室から盗まれた過去の事件の証拠品で、盗んだ本人から託されたもの)を使ってでも真実を追究するか?という選択肢が提示される。(この黒幕は治外法権によって守られた外国の大使であり、"法廷に立たせることができない相手"に対しどう立ち向かうのか?というのが本作の最終的なテーマでもある。)
この問いかけは、「逆転裁判2」の第4話『さらば、逆転』で成歩堂が直面した、弁護士として依頼人の無罪主張をするか、真実を明らかにするために依頼人を告発するかという選択とよく似ている。弁護士の役割とは被告人を無罪にして勝つことではなく、異なる立場から検事と全力でぶつかり合うことで真実を明らかにすることであるという結論に至った成歩堂のように、御剣はそれまでの検事や法に対する信念を打ち破り、悪人を裁くために法の限界を超えることを選ぶ。
このシーンは、目的のためなら手段ぶなという師匠、狩魔豪の教えと、同じように法の限界を感じ検事・刑事・弁護士から成る義賊を結成した『ヤタガラス』と本編で関わって感じたことを御剣なりに昇華して繋げた集大成であり、カタルシスが大きく非常に見応えがあった。

総合して見ると"弁護士と検事"というテーマを描き切った逆転裁判2に匹敵する名作だと思うので、是非プレイしてみて欲しい作品。